
2013年04月22日
くだらない

ショーペンハウアー「女について」。
この題自体面白い内容なのだがその中でも一番好きな部分。
当時でも叩かれた内容だがこの文章を支持したのは
他でもない当の女性であったこともお忘れなく。
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男性と男性の間には、おのずから、単に無関心があるに過ぎないけれども、女性と女性との間には、早くも生まれながらにして、敵意が存在する。だから、いわゆる商売敵の憎しみは、男たちでは、それぞれ彼らが属する同業組合にもとづくものに限られているが、女たちにあっては、その憎しみが全女性を包括している。これは、女性全体が、ただ一つの職業しか有っていないのによるのだ。女たちは、路で行きあった場合ですら、互いを分け隔てすることを、あたかも、グェルフ党とギベリン党との間柄にもひとしい。
なお、初対面の際、二人の女性は互いに、同じ場合に二人の男性が示すよりも、明らかに、より多くのわざとらしさや、いつわりの嬌飾を表す。だから、二人の女性の間にかわされるお世辞は、男性の間のそれよりも、はるかに滑稽なものとなる。また、男性は、自分よりずっと目下の者に対してすら、常に、やはりある程度の遠慮と人情味とをもって話するけれども、高貴の婦人が、身分の低い(しかし、自分の召使ではない)女と話をするとき、一般に、いかにもいばった、そして、さげすむような態度をとるのは、はたで見ていても我慢がならないくらいである。これは、けだし、女性においては、階級の相違が、総じて、男性におけるよりも著しく不安定であり、はるかにすみやかに変化したり消失したりすることさえあり得るのによるらしい。というのは、男たちの運命には幾百もの事項が関係を有つのに反して、女性にあっては、ただ一つのこと−すなわちいかなる男に気に入られたかということ−のみで、その運命が決まるからである。更に女性の仕事が一方的であるために、女性同士は、男たちの間柄よりも、はるかに接近しているから、せめて、地位による差別だけでも、はっきりさせようと試みることが、またその理由となるのであろう。